Follow us

Story ものづくりストーリー

めざしたのは “やさしいミライ”をつくること

project 「保育博」への挑戦

保育園や幼稚園、こども園の新規開設や運営改善に活かされる、サービスや製品が集結する展示会「保育博」。トキハ産業は、これまで手掛けてきたオフィス家具とは異なる、新たな可能性を求めてこの展示会に出展しました。そこには、“ものづくり”への熱い情熱を燃やし、エンドユーザーの環境改善まで見据え、“やさしいミライ”を築こうと走り続けたプロジェクトメンバーの姿がありました。

Session Member

米山 寿盛

プロデューサー/フロント総指揮

論理的な思考で現場に統制をもたらすプロフェッショナル。
営業部署では飛行場でいうところの「管制塔」のような立場。何もない時はパイロット(営業)に指示を送り、いざというという時はパイロットの判断に任せる。

歩いてどこかへ出かけたり、色んなヒトやコトに出会うのが大好きなので仕事の中に趣味があるようなもの。車移動は苦手。

松原 洋

製造総指揮

製造現場の管理、業務改善、特に人材育成が大得意。トキハの製造体制に革新を産んだ張本人。家具、木工製造の経歴が長く、多くの資材業者や他メーカーにコネクションがある。

仕事だけではなく趣味もとことん追求する主義。音楽が好きでクラシックからヒップホップ、ジャズ、ロック….オルタナティブまで、5000枚以上のアルバムを保有。
工場内をキャスターボードで移動している。

藤巻 竜也

ディレクション/企画/デザイン

本プロジェクトの立案者。デザインも全て担当する。
専門はプロダクトデザインだが、社内では企画提案書の作成や、展示会・製品開発のディレクションを行ってきた。
デザイン思考を用いて様々なことの見える化を得意としており、コンセプトメイキングもこなす。

自称デザイン中毒者。デザイン大好き人間。女子力高め。

新たな風が、トキハに未来を呼び込む。

『保育博』への出展のきっかけは何だったんでしょうか?

藤巻
「私たちにとって、新たな未来とは何だろう」と考えたとき、トキハ産業がその問いに対して、見つけ出した答えが保育業界への挑戦でした。
米山
弊社がこれまで手掛けてきたプロジェクトを振り返ると、よりニッチな業界でこそ、高い技術力や設計、企画力が発揮できるという想いがありました。そんな時、これからの未来を担う世代として“子ども”というキーワードに出会ったのです。
藤巻
そのキーワードをもとに社内で検討し、トキハ産業としては初の試みとなる保育博への出展を決定しました。プロジェクトでは自分が中心になり、出展するコンセプトモデルの核を作るために調査から着手しました。
全く未知の領域でしたので、保育業界はもちろん、行政が進める施策についてもリサーチをしました。
米山
ただ机上だけではわからないこともあったので、実際に10箇所ほどの保育施設を訪問して、現場や理事長の方々とお話をする中で、企画を構築していきましたね。
藤巻
リサーチしていく中で“働く大人と子どもが同じ空間で過ごす時に適した家具がない”という仮説にたどり着きました。この仮説から生まれたコンセプトモデルが、トキハ産業にとって新たな風を呼び込む契機になっています。

“やさしいミライ”が生み出す社内の絆。

コンセプトをつくる上で苦労したことなどありましたか?

藤巻
仮説をもとに生まれたのが、“やさしいミライ”というコンセプトです。子どもたちが安心安全に学び、保育士が働きやすく、さらには新たな保育のあり方も見つめ直す、という考え方になります。このコンセプトを表現するモデルを作成する上で、思いも寄らない課題に直面しました。
米山
弊社がこれまでに手掛けてきたプロジェクトとはあまりにも毛色が違うため、社内のみんなに、この考え方を理解してもらうことに苦労しましたね。そのため、企画の発案者である藤巻が、理解を深めるための図面やイラストを交えた企画書を作成し、社内で何度もプレゼンテーションを実施しました。その甲斐もあり徐々にこの企画に理解を示す人が増え、多くの社員が藤巻を力強く支え、プロジェクトを後押してくれたことには、本当に感謝しています。

可能性に挑む、ものづくり。

ものづくりで苦労されたことはありますか?

松原
コンセプトを象徴する一つのモデルとして、天板が大きくウェーブしたテーブルを製作しようということになりました。当初は、『本当にできるのか』と頭を悩ませましたが、現場の技術力を信じて試行錯誤を繰り返そうと団結しました。
通常、天板をウェーブさせるためには、その型を作成し、板をプレスする工程が必要となります。しかし、トキハ産業にはそうした設備がなく、費用も膨大に膨らんでしまう。これまでにOEM製作で数々の課題を突破してきた現場の技術者や、設計者と幾度となく協議を重ね、ある方法を取り入れました。一枚の板をウェーブ状に切り抜く方法であれば、デザイン性を担保しながら強度も保てるので、この方法を採用しています。
藤巻
この方法により製作は一気に進み、見事に天板がウェーブしたテーブルを目にしたときは言葉にできない感動がありました。「さすが松原さん」と口にはしませんが心の中では思ってました(笑)
松原
今回に限らず、藤巻はデザインやコンセプトから入るので無茶な要望ばかりです(笑)ただそれを形にするのが、製作側の力の見せ所にもなるので、簡単に諦めたりはしません。

つくることが、つなぐこと。

プロジェクトでの工夫やポイントがあれば教えてください

藤巻
子どもの安心安全を守るという考えから、“ふかふかした家具”を作りたいという思いがありました。それを実現するため、必要だったのがクッション素材を木製パーツと組み合わせる工程です。
松原
クッション素材は扱い方が難しいのが特徴です。ともすれば、洗練された印象を損なう可能性が大きいため、細部まで行き届いた加工技術が必要でした。そこで、数ある協力会社の中から名だたるブランド家具の製作を手掛ける岡政椅子製作所に協力をお願いしました。
藤巻が描いたコンセプトに共感してくれ、岡政椅子製作所の担当者さんが、その期待に応えてくれ、顔合わせの時点で試作品を用意してくれていたのには驚かされました。
藤巻
ほぼほぼ完成品に近い状態。もっとも難しいとされるクッションのエッヂ部分の丸みも表現されていて。こっちも負けていられないなと思いました(笑)
子どもにやさしいと同時に、大人が使うものだからかわいくなりすぎず洗練されたデザインを目指していたんです。
米山
藤巻の想いがこのプロジェクトに関わる人々の心を動かし、さまざまな課題を乗り越えることができたのかなと。展示会の本番を迎えるときは、不安よりもワクワクの方が大きかったですね。

メイキング・ドキュメント

コンセプトの見える化

たくさんのリサーチから見つけた着眼点やコンセプト。文字や言葉だけでは伝わりにくいため、ポイントをイラストにすることで、社内メンバーにもわかりやすく共有し、同じ方向に進むことができました。

手描きのラフ図面

CADなど便利なソフトもありますが、まずはイメージするデザインを手描きで描き起こします。いくつもスケッチを描いた上で決まった案をラフ図面にして、設計に移ることでスムーズにものづくりが進行します。

3Dでの事前検証

私たちは作図ソフトとして 3DCAD を積極的に使用しています。プロダクト単体からブースの作図までお手のものです。実際にものを作る前に 3D で全体のイメージを確認することで、事前に問題点の検証を行います。

トキハの未来に、一歩ずつ

実際に出展されていかがでしたか?

藤巻
ズラリと並んだコンセプトモデルを目にした来場者の方に、私達が描いた未来に共感してほしい。ただその想いだけでした。
来場者の方からは、予想を上回る嬉しい声を、たくさんいただけました。「この商品をそのまま欲しいぐらいです」「コンセプトが面白いですね」「このウェーブしたテーブルは、こんな使い方もできそう」とか、色々な意見を聞くことができ、大いに盛り上がりました。
米山
今までとは違う、異業種の方々から掛けられた言葉はとても刺激的でしたね。お話しをする中で、今後、私たちが進むべき方向性についても、かすかに見えてきました。この展示スペースでの出会いから、保育家具に関わるメーカーさんが工場へ視察にお越しになるといった新たなきっかけづくりをできたのは大きな成果ですね。

新たな挑戦となった「保育博」への出展ですが、振り返るといかがでしたか?

藤巻
ものづくりに携わる企業として、社会と調和するコンセプトを大切に、このプロジェクトで得たものづくりへの可能性をさらに広めながら、今後も新たな提案や提議に取り組んでいきたいという想いが強まりました。
米山
ニッチな世界にこそコストを抑えて個々のお客様のご意見を製品に織り込む。最大公約数のボリュームゾーンでは出来ない、ユーザーの思いをしなものに込めていくことが今後の商品開発に必要な事だと感じました。
松原
デザイナー藤巻の無理難題に対して、カタチにしてしまう開発・設計を含めた現場のモノづくりの力には僕自身、正直 驚かされました。

Contact お問い合わせ

ご質問/資料請求/工場見学のご希望などお気軽にご連絡ください。

TEL0795-86-7128
営業時間 平日9:00~17:30(土日祝を除く)