
創業から100年余り、製品開発を通して「人のくらしの快適性」を追求し続けてきたパナソニック株式会社エレクトリックワークス社様に評価いただき、製品開発のお手伝いをさせていただきました。今回ご紹介するのは、WELL認証取得を目指す企業向けに開発された、Well-beingなオフィス環境を実現するODM事例です。
WELL認証が目指すWell-beingなオフィスとは
近年、人の働く環境に意識が向けられるようになりました。身体的・精神的・社会的に満たされたWell-beingな状態を生み出すオフィスは、社員のパフォーマンスの向上・主体性を促すとして期待されています。そうしたなか、ひとつの指標として世界的な広まりをみせているのが、2014年にアメリカのDelos社が開発した建物の空間評価システム「WELL認証」です。
WELL認証とは
WELL認証とは、オフィス空間の効率や生産性だけでなく、そこで働く人のウェルネス、つまり心身ともに健康でより良い状態を保つ取り組みを評価するもの。米国発祥の国際WELLビルディング協会(IWBI)による認証で、日本でも関連する団体が評価・認証をおこなっています。2014年にスタートした認証制度は、年々広まり、登録および認証件数は各国で増加しつつあります。
評価基準には「光」「音」「空気」「温熱」「こころ」など10の項目があり、第三者機関による書類審査や現地審査をへて認証されます。単に健康や安全性を示すものでなく、取得による経済的なメリットも期待できることから、先進国のグローバル企業を中心に広がりを見せ、今やオフィスや商業施設など、全世界23,000以上のプロジェクトでWELL認証の取得が進んでいます。
今回ご依頼をいただいたパナソニック株式会社エレクトリックワークス社様は、長年の技術・知識を活かして、WELL認証を目指す企業をトータルでサポートされています。社内に「働く」を実験する施設ラボを設置し、研究・実証を行いながら、立案から設備提案、認証取得支援、設備導入や申請手続きなど、手厚くフォロー。Well-beingなオフィスづくりとして、「WELL認証取得支援サービス」も提供されています。トキハ産業は、その一端として音響装置台の開発・製造を担当させていただきました。
音で空間価値を高める|音響装置台の開発背景

WELL認証の評価基準のひとつである「音」。音響装置台という音へのこだわりが、オフィス空間を変える商品の開発につながりました。
「音」に注目したオフィス家具で、Well-beingな空間をつくる
新たな商品開発にあたり、同社が注目したのは、WELL認証項目のひとつ、「音」です。従来のオフィスでは、主に騒音対策としての配慮はなされてきたものの、Well-beingの観点とは異なります。単に音を遮断するだけでなく心地よい音を積極的に取り入れることが効果的とされることから、同社では、集中を促すマグネットエリア、休息を促すリフレッシュエリアなど、オフィス空間の用途に応じた音環境をつくることで快適性を高めることを目指されました。
今回、私たちがお手伝いしたのは、リフレッシュエリアの音を演出する音響装置台の制作。鳥のさえずりや小川のせせらぎなど、自然を感じる音環境をつくることで張り詰めた空間に安らぎを生み出し、Well-beingな環境へと導くオフィス家具の製造です。
すでにあるアイデアを、より実現可能なかたちにするOEM・ODM支援
同社が開発を進めるうえで重視したのは、音響装置をいかに空間に溶け込ませるかということ。Well-beingな空間を実現するには、音がスピーカーから露骨に聞こえるのでなく、空間から自然に聞こえるようカモフラージュされる必要がありました。そのため、「家具」として場に馴染むデザインが求められ、同時に生産体制やコストコントロールへの配慮も必要でした。すでにアイデアをかたちにするところまで進められていたものの、実現するための製造技術として、弊社をOEM、ODM支援にお声がかかりました。国内オフィス家具企業のODM元として豊富な実績を持つ弊社の技術・品質が評価され、ご依頼をいただき、量産化できる製造工程に進めました。
トキハ産業のODM支援で“理想のかたち”を実現
トキハ産業は、さまざまなニーズにお応えするODMに対応しています。今回も、ご要望と向き合いながら、理想の商品づくりに向き合いました。
求めるものに、真っ直ぐ向き合う
求められたのは、スピーカーを内蔵し、空間に馴染む造作家具であること。とくに、環境音として音の伝わり方は重要で、それを実現する確かな構造と性能、精度が不可欠でした。
トキハ産業は、お客様の課題を明確にして解決策の提案やデザインを行うソリューションチームと、開発設計、技術、資材調達、製造などものづくりを担うクリエイトチームを形成しています。デザインから製造まで一貫して担い、各セクションが真摯かつ柔軟に課題に臨みながら、連携を図って対応しています。今回のご依頼でも、トキハならではの連携体制と粘り強い姿勢で商品開発をお手伝いさせていただきました。また、「オシャレさ」といった視覚的な魅力に目が行きがちななか、今回のプロジェクトを通じ、ワークプレイスにおける「音」の関わり方とその重要性について深く学ぶ機会となりました。
理想のかたちを、共につくる
商品の開発は、同社との共同で行われました。開発担当者との打ち合わせはウェブ会議を通じて繰り返しおこない、デザイン方針や部材の選定、音響の考察など、細やかな視点ですり合わせを実施。ともに理想をかたちにする時間が続きました。音響装置台の製品開発にあたり複数回にわたって、工場にも足を運んでいただき、社員のスキルや姿勢、現場の衛生・安全性などを直接体感いただきました。こうしたプロセスを通じてより信頼関係を深め、安心してお任せいただけるようになりました。
Well-beingなオフィス環境の実現を、技術で支える

お客様のニーズに沿った商品は当然のこと、お客様に喜ばれる商品を開発したい。オフィス家具製造を得意とするトキハ産業の技術を詰め込んだ音響装置台が完成しました。
音響装置台が生み出すWell-beingな室内環境
完成したのは、インテリアグリーンを模ったオフィス家具。グリーンの受け鉢となる木質の造作部分に音源が内蔵されており、上部にフェイクグリーンがあしらっています。スピーカーの前面は造作部分と同色のサランネットで覆われ、造作の鉢と同化。音源を感じさせないデザインで、空間にリラックスした雰囲気を演出します。
こちらの音響装置台は、音によるWELL認証を目指す企業のオフィスなどで広く採用されており、心地よいWell-beingな環境を生み出すオフィス家具として好評をいただいています。
パナソニック株式会社エレクトリックワークス社 様、この度は、ご依頼を賜り誠にありがとうございました。
「新しい」をつくる。トキハ産業の強み
トキハ産業の強みは、既存の技術ありきではなく、設計と併せてそれを実現するための「技術開発」から行えることです。今回のODMでは音響の伝わり方がひとつの肝になりましたが、どうすれば実現可能か、どんな技術や加工が必要かを検証し、技術を開発するところからスタートしました。
お客様の求めるものを、より良いかたちで実現したい。
「新しい」を生み出すための設計と技術開発が、高品質なODM・OEMを支えています。
まとめ|オフィス家具のOEM・ODMならトキハ産業へ
トキハ産業は、約半世紀にわたり国内大手オフィス家具メーカー様のODM・OEM元として開発・製造を続けてきました。お客様の希望を可能な限り形にすることは、弊社で脈々と受け継がれてきたポリシーでもあります。確実な納期の厳守と徹底した品質管理を第一に信頼を積み重ね、近年では設計やデザインからご提案できる体制を整備。より柔軟で幅広い対応が可能になっています。
今回ご依頼いただいたパナソニック株式会社エレクトリックワークス社様とは、音響装置台のODM開発を通じて新たな商品開発がスタート。音響装置台をベースとし、Well-beingなオフィス環境を実現する横軸展開が始まっています。
高い技術とノウハウ、開発スキルを持つつくり手として、これからも皆様の期待に応えてまいります。オフィス家具のODM・OEMでお困りのことがございましたら、ぜひトキハ産業へお気軽にご相談ください。